デジタルの力で工場をスマートに

映像を利用してどんなことができる?

作成者: JFE商事エレクトロニクス|2022.02.28

概要

  工場のデジタル化が進む中で、生産現場では様々なIoT機器が導入され始めています。製造業で普及が進んでいるIoT機器といえば、センサーやメーターなどの他にIPネットワークを使った監視カメラが挙げられます。LTE回線や5Gの普及により有線回線では設置の難しい場所での監視が可能になったことや、インターネットに接続できるPCならいつでもどこでも、映像が確認できる利便性の高さなども導入が進んでいる要因の一つです。本記事では、ネットワークカメラの映像を工場の管理にどのように利用できるかを紹介します。

 

<目次>

  1. 概要
  2. ネットワークカメラで工場を可視化
  3. AIカメラなら様々な検知も可能に
  4. まとめ

ネットワークカメラで工場を可視化

 ネットワークカメラの代表的な利用目的は、防犯です。物流倉庫などに保管してある原材料や製品を盗難から守るため、今や多くの工場に監視カメラが設置されています。工場全体に設置された監視カメラ映像を中央監視室に集約してモニタリングすることで、警備員がわざわざ現場を見回ることなく、確認できるようにもなりました。また、工場は多くの人が出入りする場所です。監視カメラの映像を記録しておけば、盗難などが発生した際に後から映像を確認して犯人を追跡することもできます。

 近年では監視カメラの役割は幅広くなってきており、防犯や抑止効果以外に製造現場の「見える化」を促進する効果も期待されています。「見える化」は目で見る管理とも言われ、製造現場に関わるヒト・モノ(設備)・作業手順などを可視化し、管理しやすくする考え方です。工場の基本的な管理手法としてよく取り上げられる「見える化」ですが、製造現場や問題点を可視化することはそう簡単ではありません。例えば、ボトルネックになっている生産工程があった場合、問題点を見つけるには仮説を立て、地道にデータ集計をしてから原因を特定するのが一般的です。ただし、時には仮説が間違っていたために、徒労に終わるケースも珍しくありません。

 しかし、生産ラインにネットワークカメラが設置されていればどうでしょうか。設備の稼働状況から作業員の習熟度、作業方法に至るまで、目に見える範囲の情報はほぼ記録されています。そのため、データ集計は最小限の労力で済み、24時間記録した映像から生産工程の問題点を洗い出すことができます。

 映像を記録できるという点は、不良品が発生した時などのトラブル対策にも役立ちます。不良品がどの製造ロットに当たるか、どの物流ラインに流れたかなどの影響範囲の特定はもちろん、トラブル原因や再発防止策も立てやすくなります。

 

AIカメラなら様々な検知も可能に

 近年ではAI技術の進化により、ネットワークカメラとAIを融合させることで人間検知、姿勢検知などの様々な検知が可能になってきています。防犯の分野では、AIによる顔認証技術で入退室記録に応用できるほか、不審者が工場の敷地内に侵入しても人侵入検知を駆使し、管理者にアラート通知する仕組みも可能になりました。

 このようなカメラとAIを組み合わせた技術を、生産や設備の管理といった分野にまで持ち込めば、従来の工場管理のやり方は大きく変化すると予想されています。中でもAIの画像認識技術と監視カメラは相性が良く、生産ラインに設置されたAIカメラを製品のバーコード読み取りや外観異常などの不良品チェックに使うことで、検査員の人数を最小限に抑えるなどの省人化に貢献できます。

 さらに、ネットワークカメラは離れた場所にある設備の点検が行えるのも利点の一つです。メーターをAIで読み取ることで、設備の保全担当者が定期的に記録を取りに行く必要がなくなります。カメラから送信された数値をデータ化し、異常値をいち早く察知するなどの予知保全にも活用できます。

 IoTが普及している現在、工作機械に取り付けたセンサーやPLCからデータを取得し、モニタリングする例が見られますが、そこにAIカメラで記録した映像を組み合わせることで、より詳しく現場を把握することも可能です。

 例えば、機械の信号灯の停止中や一時停止の表示をカメラが検知。PLCのエラー信号などと突き合わせて止まっていた時の現場を後から映像で確認すれば、「カイゼン」に役立てられます。