重要な乾燥プロセス代表、真空乾燥の効果

真空(減圧)乾燥は、物質を真空状態で加熱し、水分や揮発性成分を蒸発させるプロセスです。減圧状態では液体の沸点が下がるため、低温で乾燥を行えます。熱に敏感な物質や成分の変性を防ぎながら、効率的に液体を取り除くことができる乾燥方法です。ここでは、真空乾燥とは何なのかその仕組みをご説明します。

目次

 

洗浄プロセスで重要な「乾燥」

洗浄プロセスは、大まかに分類すると3つの段階に分けることができます。

 

(1)洗浄

(2)すすぎ

(3)乾燥

 

ここで言及されている(3)乾燥とは、洗浄対象物に付着しているもしくは含まれている液体を取り除く作業を指します。

洗浄プロセスの主要な段階である(1)洗浄においても、高精度な洗浄が行われた場合であっても、洗浄対象物にすすぎ液が付着している場合は不良品として扱われます。なぜなら、洗浄対象物の表面に液体がのこっていると、それが酸化やシミの原因となり、ウォーターマークを形成してしまうからです。そのため、洗浄と同様に、乾燥工程は極めて重要な役割を果たします。

 

真空乾燥(減圧乾燥)とは

真空乾燥(真空乾燥)は、気圧と沸点の相関関係を活用して、水分の蒸発を促す乾燥方法です。液体が沸騰し気化する温度を沸点と称します。気圧が低下すると沸点も下がり、気化が容易になります。この物理現象を応用し、洗浄物を収めた乾燥機内の気圧をポンプを用いて減圧することで、低温でも効率的に乾燥させることが可能となります。

 

真空乾燥(減圧乾燥)のメリット|乾燥が早い

真空乾燥は、気圧と沸点の関係を利用した乾燥手法です。乾燥装置内の気圧を真空ポンプによって減圧することで、液体の沸点が低下し、沸騰が生じるため、乾燥速度が向上します。

さらに、減圧によって気化した洗浄液は真空ポンプによって吸引されるため、乾燥装置内のガスは飽和せずに持続的に乾燥が進行します。

また、真空乾燥は部品間に残存している液体も気化させ、除去することが可能です。

 

真空乾燥のデメリット・注意点

真空乾燥は部品間に残存している液体も気化させ、除去することが可能ですが、この気化過程においては液体が凍結する可能性があります。これは、気化に伴う熱の吸収により冷却が生じ、最終的に凍結が引き起こされるためです。

このため、減圧乾燥を行う際には、被洗浄物や乾燥装置を加熱するか、または減圧と大気への開放を交互に繰り返すなど、気化に伴う冷却効果に対処する措置が必要です。

 

その他の乾燥方法の種類

産業洗浄の乾燥方法には、ブロー乾燥、温風乾燥、吸引乾燥、スピン乾燥、べーパー乾燥などなど方式の違うさまざまな乾燥方法があります。

ブロー乾燥

ブロー乾燥は、洗浄物に対して強力な風を吹きつけ、付着した水滴を除去して乾燥させる方法です。通常、温風乾燥の前処理として使用されます。

 

温風乾燥

温風乾燥は、洗浄物に熱を加えた空気を送り、水分を蒸発させる乾燥方法です。洗浄物が耐熱性を持つ場合は、可能な限り高温の風を用いて水分の気化を促します。ただし、洗浄物によっては高温での乾燥が酸化などの変色を引き起こす可能性があるため、洗浄物に応じた温度調整が重要です。

 

吸引乾燥

吸引乾燥は、熱風を洗浄物にあて、表面の水分や洗浄液を蒸発させます。この蒸発した水分や洗浄液成分は排気装置を通じて外部に排出させることで乾燥させる方法です。

 

スピン乾燥

スピン乾燥は、洗浄物を高速で回転させ、遠心力によって水分を除去する乾燥方法です。スピン乾燥を行う際には、平滑な板状基板に対して、重心の配慮が必要です。

 

ベーパー乾燥

ベーパー乾燥は、洗浄と乾燥を同時に行うことが可能な乾燥方法です。低引火性の洗浄液の高温蒸気が充満した乾燥機内に洗浄物を投入します。この過程により、洗浄物表面に蒸気が水滴として付着し、仕上げの洗浄が行われます。その後、洗浄物は徐々に温度上昇し、付着した水滴は蒸発して乾燥します。ベーパー乾燥は、一般的にカメラレンズなどの精密部品の仕上げ洗浄および乾燥に使用されます。

 

洗浄の課題ならJFEエレクトロニクスへ

洗浄のお困りごとに対して、JFE商事エレクトロニクスでは、お客様の現場の洗浄工程に造詣のある専門スタッフがご要望に合わせてご提案させていただきます。

お気軽にお問い合わせください