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設備保全とは②事後保全、改良保全、保全予防、その他の保全活動について

作成者: JFE商事エレクトロニクス|2022.03.14

概要

前回は設備維持活動の保全作業である「予防保全」「予知保全」についてご紹介しました。

今回は「故障発生後の保全活動である事後保全」、「設備を改善する改良保全」、「メンテナンス性の優れた設備設計を行う保全予防」「その他の保全活動」について触れていき、予防保全・予知保全以外の保全活動について理解を深めていきたいと思います

目次

1.概要
2.突発修理活動
 ・事後保全
3.改善活動
 ・改良保全
 ・保全予防
4.その他の保全―生産保全、集中保全
 ・生産保全
 ・集中保全
5.まとめ

突発修理活動

―故障発生後、迅速に修理し生産再開をメインとする保全活動

【事後保全】

設備に故障が発生し正常な状態で生産できない場合に部品交換や応急対応を行う保全が事後保全です。設備や機械は稼働を続けると劣化やイレギュラーな故障が生じてしまうことがあります。その時、設備のレスキュー隊とも言える保全作業者が迅速に故障個所の特定と修理を行い、いかに早く生産できる状態に復帰するのかが重要なキーポイントとなってきます。

復帰するまでの時間は、生産数や会社の損益に直結するので迅速且つ確実な作業が求められます。故障が発生してから作業を行うため、先行投資や事前準備は必要ありませんが、突発的に故障が発生するので、他の作業計画にも影響を及ぼすだけでなく、生産部署の作業管理や工数管理にも関わってきます。

事後保全によって及ぼす影響がかなり大きいことを考慮すると、事後保全での対応はなるべく少なくし、基本は予防保全や予知保全で故障の未然防止を実施し、設備を正常な状態で維持することが求められることでしょう。

改善活動

設備保全のメンテンナンス性や故障防止について改善を行う保全活動

【改良保全】

改良保全とは、設備が故障したときに、今後同じトラブルや異常が発生しないよう、設備自体を改善する活動です。設備故障が発生後、原因追及を徹底的に行い、導き出した真因に対して対策を行うことがとても重要になってきますが、まず真因に辿り着くことが最初の一歩です。真因から外れた対策を何度行っても同じような不具合が再発し、二度手間になってしまいます。QC手法や要因解析を駆使して根底にある真因を確実に突き止めることができれば次に対策です。

数値的・物理的に根拠を持った対策でないと不具合の再発につながってしまいます。真因対策を行うとここで初めて効果を確認することができます。改良前と比較して異常の発生回数は低減されているのか、対策を行ったことで別の不具合を併発させていないかなど、対策後の効果確認も重要なポイントです。ここで効果が出て初めて改良保全の成功事例と言えるでしょう。

 

【保全予防】

設備は故障しないのが望ましく、また故障した場合でも速やかに修理できることが望ましいです。これらの要件に対し、設備を計画・考案する段階から考慮し、信頼性が高くメンテナンス性のすぐれた設備設計を行うことを保全予防と言います。

保全予防を行うことで設備保全作業者の作業工数が低減されるだけではありません。メンテナンス性が良いもしくはメンテナンスフリーの場合、設備故障も少ないので生産性向上も直結してきます。

生産設備を立ち上げる際、他と全く同じ設計では同じような結果・生産性しか望めません。これまでの経験や類似工場・類似設備の情報を解析し予め対策を行った設備を導入することが重要であり、これは設備保全作業者目線で現場の声を設計に伝えることで実現することができるのです。設備設計者は、現場の声に耳を傾け、メンテナンス性を考慮した設備設計・設備導入が会社損益に直結していることを忘れてはいけません。

その他の保全―生産保全、集中保全

―全員参加の保全活動と設備保全組織について

【生産保全】

設備を導入してから劣化等によって廃棄するまでのサイクルにおいて、いかに長く設備を使用できるようにするかを目的とした保全活動です。これだけだと「予防保全」や「定期保全」と同じと感じるかもしれませんが、大きく異なる点があります。

それは設備保全作業者以外も参加して保全活動をするということです。もちろん設備保全作業者もメンテナンスし、各設備の知識はありますが、実際に設備を毎日扱っている生産部署のメンバーの方が担当設備に関しての特徴や癖をよく理解しています。設備停止を防止するために生産部署のメンバーが自ら行動に起こし「この設備はここが摩耗しやすいから毎日グリスアップしておく」「これは破れやすいから毎日生産が終わったら点検する」など日々の作業の中で気付いたことに対してメンテナンスしている保全活動です。この内容を設備保全にフィードバックすることで、設備改良や今後の設備導入時の知見として役に立つので情報共有は必須です。

これは後に全員参加の生産保全、すなわちTPM(Total Productive Maintenance)にもつながっていくので生産部署メンバーの保全意識向上・保全能力向上が極めて重要になってきます。

【集中保全】

保全部署の組織作りにおいて重要なことは「情報共有」です。保全メンバーが個別に行動し、各個人でベクトルが違っていては効率の悪い保全組織となってしまいます。それを防ぐために、設備に関する停止情報や不具合情報などが風通しよく共有され、保全メンバーが一丸となって予防保全や事後保全に取り組める組織作りを「集中保全」と言います。

集中保全には「技能伝承」という観点からも大きなメリットがあります。狭い環境・限られたメンバーによって育成された保全メンバーと広い環境・あらゆる保全メンバーによって育成されたメンバーとでは知見に大きな差が生まれるので、若手の育成・技能取得においても集中保全は欠かすことができない活動ということです。