設備保全の業務内容については前回までの記事で把握できたかと思います。今回はその中で最も重要な「予防保全」「予知保全」に着目し、ネットワークカメラを使用した業務改善を紹介していきたいと思います。
―過剰保全から適切な保全活動へ
設備保全業務の中で「予防保全は、あらかじめ作成した保全計画に従って定期的に点検を行うこと」と記載しました。設備が正常に稼働している状態でも必ず一定期間で点検作業を行うこの予防保全には大きな改善の余地があります。
例えば、様々なベルトの点検作業です。今までは現場に行って点検していましたが、もちろん何も問題ないことが多々あります。点検しても何も収穫がないこの作業は人件費も工数も大きな無駄で会社にとっては損害です。
この点検作業にあたりネットワークカメラを活用してみたらどうなるでしょうか。カメラ映像を確認し、ベルトに異常が見受けられた時だけ、実物を確認するのです。そうすれば過剰保全を防ぐことができるだけでなく、ベルトの状態も常時監視できるので、予防保全という観点からも非常に高い効果を得ることができるでしょう。
―情報量を武器に予知保全の精度アップ
「設備の動きを監視して故障や異常が発生しそうな状態を検知・予知し、未然に故障を防ぐ」という予知保全にもネットワークカメラは活躍します。例えば、設備の状態を把握するにあたり設備温度等で兆候を管理することも多々あると思います。「○○度以上になったら冷却水を新品に交換する」など作業内容は種々ありますが、設備の状態を把握するために現場で点検事項を確認して戻るという単純作業が多く発生しているのが実情です。
そんな当たり前の作業もネットワークカメラを活用すれば、現場に行かなくても設備の状態を把握できるだけでなく、今まで見ることができなかった温度や圧力の変動もカメラ映像を通じてどこでも確認できるようになるのです。
―新たな視点で作業改善
「ネットワークカメラ」と聞くと一見難しそうに聞こえますが実際のハードルは低く、誰でも活用できるのです。ネットワークカメラの概要は、カメラで撮影した映像をパソコンやスマホなどからリアルタイムで見られるビデオカメラで、「IPカメラ」とも呼ばれています。
カメラを設置し簡単な設定を行えば事前準備完了です。ベルトの状態や圧力、温度等は映像で常時監視できるようになり予防保全・予知保全の作業改善になるだけでなく、現場での点検作業を省くことにより、製造業で最も重要な「安全」が担保されるのです。
―実際の事例紹介
一度カメラを設置し環境を整えてしませば、あとはどこに居ても映像を確認できる「ネットワークカメラ」の活用方法についてご紹介していきます。
⇒点検工数や歩行工数低減だけでなく、カメラ映像を通じて現場の状態を「いつでも、どこでも」確認できるようになり不具合発生時、早急に対応できるのです。
⇒カメラで点検が行えるので作業者の負担が減るだけでなく、高所での作業頻度低減により作業者の安全を確保できる効果があります。
⇒何分も歩いて現場まで行き、単純な点検を数項目実施してすぐに戻るという作業においてネットワークカメラを用いて工数改善できれば効果は絶大なものになります。
⇒カメラがついていても録画映像を見るために現地まで足を運んで映像確認していました。ネットワークカメラの活用により現場まで行かなくても上位や関係者に映像を確認してもらうことができるようになり情報共有のスピードが格段に上がります。
ここには記載できないほど様々な用途でネットワークカメラは導入され、すでに多くの生産現場で活躍しています。ネットワークを活用し遠方で映像を確認するだけでなく、映像をオープンにすることで情報共有という観点からもネットワークカメラの活用方法は無限大にあります。