【半導体基礎知識】半導体製造工程としての洗浄技術と洗浄装置

細かく分かれている半導体の製造工程において、1つも無駄な工程はありません。その中でも、複数回にわたって繰り返しおこなわれるほどに重要な工程に「洗浄」工程があります。本記事では、「洗浄工程とは何か」をはじめ、洗浄装置の種類などもご紹介します。

基礎編-cleanroom

目次

 

1.洗浄工程とは

洗浄工程は、半導体製造工程で生じる微細な不純物や汚れ(パーティクルなど)を取り除く工程のことです。半導体の製造工程は「前工程」と「後工程」に大きく分かれますが、前工程において洗浄工程は1つの作業が終わる度に実行されます。

実際に、洗浄工程は半導体製造工程の約3割を占めています。洗浄工程がこのように大きな割合を占めている理由は、それだけ製品の品質を左右する重要な工程だからです。

下記記事では半導体の製造全工程について説明しているため、興味がある方はご参考ください。

半導体製造の前工程とは│具体的な実施内容をわかりやすく解説

半導体製造の後工程とは│具体的な実施内容をわかりやすく解説

 

 

2.半導体製造工程で洗浄が重要な理由

洗浄工程が重要視される理由は、ウエーハ表面にわずかでも不純物や汚れがあると、製造過程での化学反応の阻害などにつながる可能性があるからです。

これらは、製品の信頼性を下げるだけでなく、製造歩留まり(各工程の良品率)低下をもたらす可能性があります。また、現代の半導体で重要視されているチップサイズの極小化と高密度な集積にも影響を及ぼしてしまうでしょう。

上記理由から洗浄工程は、半導体製造の全体的な品質を確保するために不可欠であり、非常に重要な役割を果たしていることがわかるはずです。

 

3.汚れの種類

ここまで、洗浄工程の重要性をご紹介してきました。次に、半導体の洗浄工程で落とすべき主な「汚れ」についてご紹介します。

半導体 洗浄工程1

「小さな汚れ」と聞くと日常生活では気にならないものかもしれませんが、工場でつくられるトランジスタなどのサイズは数ナノメートル(1mmの10万分の1)です。ここから、半導体製造ではわずかな汚れも重大な問題になりかねないことがわかるでしょう。

 

4.洗浄装置の種類と特徴

汚染の種類について理解したところで、次は洗浄装置の種類と特徴についてご紹介していきます。

洗浄装置は、洗浄方法によって「バッチ式」と「枚葉式」の2つに大別されます。それぞれの特徴も併せて見ていきましょう。

半導体 洗浄工程2

洗浄方法に加え、処理方法でも「ウエット式」と「ドライ式」の2種類が存在します。それぞれの特徴は下記の通りです。

半導体 洗浄工程3

方式ごとに得意な内容が異なりますが、最近では半導体の微細化が進んでいることから、繊細な処理ができる枚葉式が多く採用されている傾向があります。

 

5.洗浄とセットで重要な乾燥

洗浄がおこなわれたからには、「乾燥」の作業も発生します。ウエーハを濡れたまま放置すると、ウエーハ表面の酸化やシミ(ウォーターマーク)が発生してしまい、半導体の異常につながる可能性があるからです。

また、乾燥が終わらなければ洗浄工程が終わらないため、半導体の製造工程全体の効率化にも影響を及ぼします。そのため、洗浄と乾燥は必ずセットでおこなわれる重要な作業であることを覚えておきましょう。このように洗浄工程前と洗浄後のWaferは乾燥していなければならず、これを「ドライイン・ドライアウト」と言います。

 

まとめ>

本記事では、半導体製造工程における「洗浄工程」について、重要視されている理由から洗浄装置の種類なども含めてご紹介してきました。非常に小さな半導体は、わずかな汚れも異常の原因になりかねないからこそ、汚れを除去する洗浄工程は非常に重要な役割を担っていることがわかりましたね。

半導体についてもっと知りたい方は、ぜひ当社の他コンテンツもご覧ください。

 

 

 

お気軽にお問い合わせください