物流業界でも注目の通信方式「LPWA」とは何?Sigfoxとの違いとCat.M1の優位性を解説

 

スマートコネクション・ネットワークシステム

各種IoTデバイスに採用されており、長距離通信を実現する通信方式である「LPWA」。

物流事業においてもこうした通信規格の特徴を知っておくことは重要です。

そこで本記事では、LPWAの特徴に加え、Cat.M1とSigfoxとの違いなどを解説します。

主にGPSトラッカーの運用時に押さえておきたい知識なので、導入検討中の方はチェックしてみてください。

 

 

1. LPWAとは?

まずは、通信方式のひとつである「LPWA」の概要や、メジャーな規格である「Sigfox」について解説します。 

  • LPWAは通信方式のひとつ
  • Sigfoxが先行して展開
  • 物流にはセルラー型LPWAが向いている 

通信規格にはそれぞれ特徴や利点があり、用途に合ったものを使用することが重要です。 

物流事業とは直接関わらない部分もありますが、知っておくとITツールを活用する際などに理解が深まりやすいので押さえておきましょう。

 

LPWAは通信方式のひとつ

LPWAは「Low Power Wide Area-network」の略で、「省電力かつ長距離での無線通信」を可能とする通信方式です。 

LPWAにはいくつもの規格があり、アンライセンスバンドとライセンスバンドがあり、違いは以下の通りです。

 種類

 概要

 代表的な規格

アンライセンスバンド
別名: 非セルラー

使用するのに電波法における免許が不要な規格

・Sigfox
・LoRaWANなど

ライセンスバンド
別名: セルラー

免許や無線局開局が必要な規格

・LTE Cat.M1など

 

スマホなどで活用される4G・5Gや、WI-Fi、BluetoothなどはLPWAとは別の方式です。

Wi-Fiなどと比べると低速ですが、その分低コストかつ広域・遠距離の通信を実現できるのがメリットとなっています。

LPWAの通信方式について

 

Sigfoxが先行して展開

LPWAにはさまざまな規格が含まれますが、Sigfoxが先行して

展開が進んでいます。

SigfoxはフランスのSigfox社で開発され、現在はシンガポールのUnaBiz社が引継ぎ展開しています。

低電力・低コストで利用できるのが利点で、電池ひとつで10年程度デバイスを運用できるなど省エネ性能に優れています。

近年ではセルラー型のLTE Cat.M1のシェア拡大が進んでおり、今後の動向が注目されています。

 

物流にはセルラー型LPWAが向いている

物流事業においては、GPSトラッカーなどにLPWAの通信技術が使用されています。

特に広域をカバーし移動中の通信にも強いセルラー型のLPWAが向いています。

主要なセルラー型LPWAのCat.M1と、非セルラー型のSigfox、Eltresを比較すると以下の通りです。

 

 Cat.M1

 Sigfox

 Eltres

 種類

 セルラー型

 非セルラー型

 非セルラー型

 周波数帯

 700MHz~3.5GHz (LTE)             

 920MHz

 920MHz

 通信速度

 1Mbps

 100bps

 80bps

 カバレッジ
 ※送受信可能な範囲

 10km圏内

 50km圏内

 100km圏内

 ライセンス

 必要

 不要

 不要

 

Cat.M1の優位性については、次項で詳しく解説します。

 

2. Sigfoxと比較したときのCat.M1の優位性

Sigfoxと比較したときのCat.M1の優位性を紹介します。

主に以下の2点です。

  • Cat.M1はSigfoxが対応できない範囲をカバーできる
  • Sigfoxよりも移動中のデータ取得に強く、大容量通信が可能、かつデータ取りこぼしがない

GPSトラッカーなどのITツールを検討する際は、ぜひ通信規格についても確認してみましょう。

Cat.M1が採用されるポイントは下記の通りです。

 

Cat.M1はSigfoxが対応できない範囲をカバーできる

Cat.M1はモバイル系のキャリアが使用している基地局を活用して通信ができるので、Sigfoxなどの非セルラー系LPWAが対応していない範囲でもカバーできるのが利点です。Sigfoxの国内人口カバー率が95%に対して、Cat.M1は99.9%と高く、特に北海道エリアはSigfoxではカバーされない町村でも、Cat.M1でカバーして対応することができます。

 環境を選ばず安定した通信を実現できる点がメリットなので、さまざまな場所へと移動する可能性の高い物流事業者のツールとして優れています。

 

Sigfoxよりも移動中のデータ取得に強く、大容量通信が可能、かつデータ取りこぼしがない

Cat.M1は、Sigfoxよりも移動中のデータ取得に強く、大容量通信が可能、かつデータ取りこぼしがないという特徴があります。

GPSトラッカーなどは高速道路などを走行するトラックに搭載する可能性が高いので、高速移動中でもデータ取りこぼしがない、Cat.M1などセルラー系の規格を採用した製品を使用するのが良いでしょう。

 ダウンロード速度が1MbpsとLPWAの中で高速であり、データ容量や通信可能回数に制限があるSigfoxに対して制限がないCat.M1は大容量通信などにも向いています。

 

3. GPSトラッカーはCat.M1採用の製品がおすすめ

 

本記事では、通信方式のLPWAやCat.M1などについて解説しました。

物流事業においては、荷物やトラックの位置情報を共有できるGPSトラッカーなどに使用されている技術です。 

通信規格においては、SigfoxよりもCat.M1の方が移動しながらの通信に強い、通信エリアが広い、通信可能回数に制限がなく、大容量通信が可能であり、データ取りこぼしがないという特性を持っています。

そのため、GPSトラッカーを使用するならCat.M1を採用した製品を検討しましょう。

物流トラッキングシステムはCat.M1を採用しており、安定した高速通信を実現しています。

また本製品にはA-GPS(Assisted-GPS)という機能があり、GPS/GNSS測位完了までの時間を短縮することが出来るため、消費電力削減に効果があることや位置情報が測位できずにタイムアウトを防ぐことができます。

GPSトラッカーの導入を検討している方はぜひ参考にしてください。

 

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