概要
やり難い作業をネットワークカメラで改善
皆さんの職場で作業者が無理をして行っている点検作業はありませんか?
「危険だから本当は入りたくないけど、入らないと点検できない」「汚い場所だけどどうしても入らないといけない」「独特の臭いがするけど慣れれば大丈夫」など作業を行うためには無理をすることが当たり前になっている現場があるかもしれません。
そういった現場で皆さんの代わりに活躍し作業を楽にしてくれるのがネットワークカメラです。ネットワークカメラを活用する事で作業が「安全、確実、簡単」になると共に改善へのヒントや不具合調査など様々な場面で応用が利きます。本記事ではネットワークカメラの説明と活用事例についてご紹介します。
この記事を読んだ後、「あの作業でネットワークカメラ使えるかも」と改善の気付きやキッカケを掴んでいただけたらと思います。
目次
そもそもネットワークカメラとは?
「ネットワークカメラ」と名前だけ聞くと一見難しそうに聞こえますが実際のハードルは低く、誰でも活用できるのです。
ネットワークカメラの概要だけを説明すると、カメラで撮影した映像をパソコンやスマホなどからリアルタイムで見られるビデオカメラで、ネットワークへ接続できる機能も持ち、IPアドレスが割り当てられるため「IPカメラ」とも呼ばれています。
上記の概要説明を、簡単に言うと「ネットにつながったカメラでどこでも見られる」ということですので、それだけを覚えていただけたら十分活用できます。
ネットワークカメラの選定について
実際にネットワークカメラにはどんな種類があり、どうやって選べばいいのか、カメラの選定について説明していきます。
主にネットワークカメラは「①ネットワーク接続方法」と「②カメラ形状・性能」で選定することができます。
①ネットワーク接続方法
ネットワーク接続方法には無線接続と有線接続があります。まず無線接続は名前の通りカメラ本体から無線で親機まで接続するタイプです。配線は電源ケーブルのみになりカメラ本体でIPアドレスの設定を行い通信します。(図1、無線接続参照)
図1.無線接続
次に有線接続ですが2種類あり、1つ目がネットワークに接続するLANケーブルと電源ケーブルの計2本のケーブルが必要なタイプです。このタイプは「電源は電源ケーブル」「通信はLANケーブル」と分かれているため見た目上わかりやすいですが、近くに電源がないと設置が困難となる場合があります。(図2、有線接続①参照)
図2.有線接続①
2つ目が「POE」というタイプでカメラ電源とネット接続をLANケーブル1本だけで行うものです。(※POE=Power Over Ethernetの略語)
LANケーブルで電源供給も行うので、電源が近くになくても設置できケーブル接続も1本で済むため、見た目上すっきりとまとめ易いでしょう。(図3、有線接続②参照)
図3.有線接続②
②カメラ形状・性能
ネットワークカメラの選定方法には、大きく分けて5つの選定基準がありますので導入前には必ず確認し自らの用途と比較して選定していきましょう。
※深堀すればさらに細分化されます。
カメラ形状
カメラ形状には大きく分けて3種類あります。
【ドーム型】
・見た目が照明のようにドーム形状のため目立ちにくい。
・撮影範囲が広く360度旋回できるタイプもある。
【バレット型】
・威嚇効果が高い。
・撮影先が明確にわかる。
【小型(置くだけタイプ)】
・工事不要なので入荷後、即日で使用できる
・狭い場所でも使用できる
解像度
解像度とは1インチ(2.54cm)のあたり点(ピクセル)がどれだけ並んでいるか、ということで点が多ければ多いほど精彩できれいな画像となります。
多くの業務においてはフルHD(1920×1080)でも十分ですが、かなり鮮明な映像を求める場合は4K(3840×2160)という選択肢もあります。
フレームレート
フレームレートとはネットワークカメラが1秒間に出力できる画像枚数のことを表しています。単位は fps(frame per second)を使用します。
フレームレートの数値が大きくなると、映像はより動画に近い滑らかな映像になります。
一般的なテレビが30fpsですので一つの目安になるかと思います。テレビと同じような映像で問題なければ30fps、さらに変化が速い映像(瞬間的な圧力変動など)を録画する際は、60fpsという選択肢もあります。
PTZ機能
PTZはパン(Panoramac)・チルト(Tilt)・ズーム(Zoom)、それぞれの頭文字の略で、遠隔操作にてカメラの首振りを制御できるカメラのことです。
PTZ機能は現地での位置調整作業がないため、かなり便利で作業性を向上させてくれる機能の一つです。
伝送速度
ネットワークカメラが1秒間に出力するデータ量を表す数値で単位はbpsを使います。
上記で述べた「解像度」や「フレームレート」が大きくなるとネットワークにかかる負荷は大きくなっていきますが、データ伝送時に圧縮・縮小しています。
圧縮方式にも種類がありますが、概ね「H.264」もしくは「H.265」だと思われます。
H.264は1Mbpsの速度で480P(解像度720×480)の SDの音声・動画を転送できるのに対し、H.265は1~2Mbpsの速度で720P(解像度1280×720)のHDの音声・動画のネットワーク転送を行うことができます。つまり、H.265は同じネットワーク環境で、より高品質な動画をより高速に転送することができます。
実際の活用方法
一度カメラを設置してしまえばあとはどこに居ても遠隔で映像を確認できるので、「危険な場所、汚い場所、臭い場所」にもう行かなくていいのです。
実際にどのような場所でネットワークカメラが活用できるのかご紹介していきます。
⑴危険が伴う点検作業
・動力の近くで行う点検作業や設備の油圧空圧油量などの点検作業
・足場や脚立を使用している高所での点検作業
⑵狭い場所や汚い場所での作業
・油や粉塵が多く発生し、点検に行くたび作業服が汚れてしまう作業
・点検場所が狭いため体を無理に入れて行っている作業
⑶悪臭が発生している場所での点検作業
・油やグリスの臭いが充満している場所での点検作業
・独特の薬品やガスを使用している場所での点検作業
⑷歩行工数(移動)を削減したい場合
・遠方から設備が稼働しているか確認したいとき
・数ヵ所見るためだけに遠方まで歩き行っている作業
⑸管理者による作業観察
・現場へ向かうことができない管理監督者が作業員の作業観察を行うとき
・作業にムダがないか遠方のメンバー・管理者と確認したいとき